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最先端のシミュレーションによって明らかになった中間質量ブラックホール形成過程

【本学研究者情報】

大学院理学研究科天文学専攻
日本学術振興会特別研究員-CPD (国際競争力強化研究員)
平居 悠(ひらい ゆたか)
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 中間質量ブラックホール(太陽の100から1万倍程度の質量のブラックホール)は観測的な証拠が少ないミッシングリンク。
  • 球状星団の形成過程の数値シミュレーションで星の合体から超大質量星が形成される様子を再現。

  • 星の進化の理論から、超大質量星は太陽の数千倍の質量のブラックホールへと進化すると考えられる。

【概要】

 東京大学大学院理学系研究科の藤井通子准教授と、福井県立大学情報センターの谷川衝准教授(研究当時:東京大学大学院総合文化研究科 助教)らによる研究グループは、球状星団(注1)の形成過程で、星の合体から超大質量星(注2)を経て中間質量ブラックホール(注3)が形成されることを数値シミュレーションにより明らかにしました。

 本研究では新規開発の計算手法により、世界で初めて球状星団の形成過程を星一つ一つまで数値シミュレーションで再現しました(図1)。その結果、形成中の球状星団の中で星が次々と合体することによって太陽の数千倍の質量を持つ超大質量星が形成されることがわかりました。さらに、星の進化の理論に基づいた計算によって、この超大質量星は後に太陽の数千倍の質量を持つ中間質量ブラックホールへと進化することを確かめました。これまでの観測から長年論争となっていた球状星団における中間質量ブラックホールの存在を理論的に強く支持する結果です。

1:シミュレーションで再現された形成中の球状星団
左下の青白い点一つ一つが星団の星を表し、その周りの「もや」は星間ガスを表す。色は温度を表しており、暗い部分が温度の低い星間ガス(分子雲)、明るい部分が温度の高い星間ガスを表す。可視化:武田隆顕(ヴェイサエンターテイメント株式会社)。クレジット:藤井通子、武田隆顕

【用語解説】

注1. 球状星団
数百万個以上の星が球状に分布し互いの重力によって束縛されている天体。

注2. 超大質量星
太陽の数百倍から1万倍もの質量を持つ星。まだその存在について観測的な証拠はない。

注3. 中間質量ブラックホール
太陽の100倍から1万倍の質量を持つブラックホール。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院理学研究科天文学専攻
日本学術振興会特別研究員-CPD(国際競争力強化研究員)
平居 悠(ひらい ゆたか)
電話:022-795-6505
E-mail:yutaka.hirai*astr.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院理学研究科
広報?アウトリーチ支援室
電話:022?795?6708
Email:sci-pr*mail.sci.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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