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成分にばらつきのあるバイオマスや廃棄プラスチックを 高効率利用する計算技術を開発 ─ ニューラルネットワークで個々の反応速度パラメータを素早く推算 ─

【本学研究者情報】

〇大学院工学研究科
助教 松川 嘉也
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • バイオマスなど複雑な炭素原料の反応解析を高精度化?高速化しました。
  • ニューラルネットワーク(注1)に基づく、反応速度パラメータの新しい推算方法を開発しました。
  • 実験データ(ニューラルネットワークのインプット)のノイズに強い実用的な手法です。

【概要】

低炭素?循環型社会の実現のためには、炭素資源を化学原料として循環利用したり、植物由来の原料?燃料などのバイオマスを活用したりするシステムが不可欠です。バイオマスは大気中からCO2を吸収するため、化石燃料をバイオマスに置き換えることができればカーボンニュートラル(注2)になるとされています。製鉄プロセスでも石炭由来のコークスをバイオマスで代替する取組みがあります。しかしバイオマスや廃棄物は出所により炭素成分が異なり、反応プロセスの予測や制御に大きな課題がありました。

東北大学大学院工学研究科の松川嘉也助教らの研究グループは、炭素原料の変換時の反応速度パラメータの推算にニューラルネットワークを用いた新たな手法を提案しました。テンソルフロー(Tensorflow)(注3)およびケラス(Keras)(注4)を活用することで簡易かつ高速に反応速度パラメータを推算することができ、かつ、原料の多様性に起因する実験データの変動やノイズにも高い適応性をもつため、高精度な結果を得ることができます。この手法は、コークスやカーボンニュートラル社会の実現に向けて利活用が注目されているバイオマスの反応速度パラメータを仮定なしで推算できる画期的なものです。

今後、本手法を応用し、バイオマスを含む固体炭素において反応性ごとに成分を分離する研究を進め、バイオマスと化石資源を混合することによって起こる相乗効果の理解につなげていきます。

本研究成果は、2023年2月27日に燃料分野の専門誌 Fuelにオンライン掲載されました。

図1. カーボンニュートラル実現のシナリオ

【用語解説】

注1.ニューラルネットワーク
人間の脳内にある神経細胞(ニューロン)のネットワーク構造を模した数学モデルであり、機械学習のモデルとしてよく利用される。

注2. カーボンニュートラル
二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させること。地球温暖化の進行を抑制することができると考えられている。

注3.テンソルフロー(Tensorflow)
Googleによって開発?公開されている深層学習のフレームワークである。

注4.ケラス(Keras)
Googleが開発したニューラルネットワークのライブラリである。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学 大学院工学研究科
助教 松川 嘉也
TEL: 022-795-7251
E-mail: matsukawa*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学 大学院工学研究科 情報広報室
担当 沼澤みどり
TEL: 022-795-5898
E-mail: eng-pr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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